「行き場のない私に真っ先に声をかけてきたのは、買春者か性搾取業者でした」
日本では、虐待や貧困などで行き場を失い性被害に遭うなどして困っている若年女性が、自分から公的な機関へ助けを求めることは難しく、また公的支援につながったとしても、管理体制の厳しさなどからそこからこぼれ落ちてしまい、多くは〝自己責任〟で生き抜こうとしています。
学校や家が安心して過ごせる場でなくなり、渋谷で週5日過ごしていた自身の経験を記した『難民高校生』や、少女を「JKビジネス」に取り込む業者の手口を分析した『女子高生の裏社会』などの著書がある仁藤夢乃さんが代表をつとめる一般社団法人Colaboでは、行き場のない若年女性が性搾取などの危険に取り込まれる前に、繁華街での声をかけ(アウトリーチ)等で彼女たちとつながり、相談や役所などへの同行、一時シェルター、シェアハウスの提供などで、困っている女性を支え、「共にある」活動を行なっています。
また、大きな反響を呼んだ「私たちは『買われた』展」をはじめとする若年女性の性被害の実態を伝える活動では、女子高生を性的に価値の高い商品かのように「JK」と呼び、「児童買春」を「援助交際」と言い換え、「ブランド物ほしさに好きでやっているんだろう」と、児童買春被害を見て見ぬふりしてきた大人社会に、その責任を問うてきました。
本書では、Colaboの11年の活動を振り返りつつ、仁藤夢乃さんによるColaboにつながる女の子たちへのインタビューや、学校教育や女性福祉の専門家、弁護士、困窮者支援の活動家らと仁藤さんとの対談を収録。Colaboの核にある〈対等な関係性〉や〈当事者主体の活動〉がどのようにして可能になったのかを明らかにします。