ぼけは、病気ではない。
自分と社会を開くトリガーだ――
ここを出発点に始まった、美学者と「宅老所よりあい」代表の往復書簡。その到着点は…?
二人の「タマシイのマジ」が響き合った、圧巻の36通。
自分のしたことが本当の意味で相手のためになる、というのは、おそらく私たちが思うよりもずっと不思議で、想定外に満ちた出来事なのでしょう。ほとんど、奇跡だと言ってもいい。――伊藤(はじめに)
お年寄りたちは、思想信条に依らないアナキズムと、人格や宗教に依らない許しを発揮し、場をつくり始めると言えるでしょう。そのように時折シンクロします。大方は揉めながらバラバラのままに一緒にいる。いるしかない。なんか、まじめで滑稽でしょ。好きなんです。――村瀨(3通目)