パンデミック禍、ハンデを持った女児を抱えるシングルマザー、ホームレス上がりで素性さえ不明な依頼主からの怪しげな仕事に手を染める男。いずれも社会環境に翻弄されながらも、別々の人生を生きる二人が交差した時、その目に映る世界とは!? 新型コロナウイルスに襲われた世界各国で、あぶりだされた矛盾、差別、格差、貧困……。ウイルスは、人と人との繋がり、国家間の関係、あらゆるコミュニケーションを途絶えさせ、医療、物流などの社会インフラまでも機能不全に陥らせ、人々の生活様式や経済にまで浸食していった。ワクチンが出来ても、ウイルスはその都度、姿を変えしぶとく生き続ける。閉塞感に支配され猜疑心が深まり、息がつまるような世界に変貌した。専門家も政治家も信用ならず、未だ収束は見えない……私達はウイルスとの共存を選択するしかないのか。歴史に刻まれるであろう〝ある時代〟を映し出したウィズコロナ時代の文学の登場!