いつの時代も日本人は、寄鯨を、海からもたらされる贈り物としてありがたく受け取ってきた。感謝と畏怖、そんな思いが日本の捕鯨の伝統や文化を育んできた。しかしそれは今、ややもすれば感傷的な自然保護や狭隘なナショナリズムで語られてしまう。はたして日本人は鯨とどのように関わってきたのか。かつて西海捕鯨の拠点として栄えた長崎県生月島に暮らす著者が、日本捕鯨の歴史をたどる。