イギリス人の父親と日本人の母親を持つ中3の陸は、バスケ部の豪大から何かと絡まれ、暴力を受けている。
一方、母親の再婚を機に岡山から京都に引っ越してきた中2の美雨は、学校にも、家にも、居場所がなく、京都の町をさまよい歩いては時間をつぶす毎日。いつものようにさまよい歩いていたとき、ショーウインドウに飾られた器が月明かりに一瞬きらめくのを見た美雨は、その美しさに心奪われる。そのときの胸の高鳴りが、美雨を思わぬところに誘っていく……。
それぞれに自分のアイデンティティを探すなかで辿り着く、「漆」がつなぐ陸と美雨、ふたりの出逢い。
京都を舞台に、伝統工芸の「漆」「金継ぎ」を扱いながら、子どもたちを取り巻く社会問題をも描いた青春小説。
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【目次】
1.おれって、何者?
2.あたしって、自意識過剰?
3.「バス」
4.骨董屋
5.十円ハゲ
6.「月光」
7.蛇の木
8.大也
9.「バス」2
10.漆芸修復師
11.傷跡
12.ペイン、ペイン、ゴー アウェイ
13.傷だらけの木
14.出会い
15.なんか、おれ。負けてる気がする
16.マグカップ
17.勉強するのはなんのため?
18.合格祝い
19.いさかい
20.ありのまま
21.ホームパーティー
22.つなぐ
23.萌芽更新