• Authorマイケル・リンド 中野剛志 施光恒
  • Publisher東洋経済新報社
  • ISBN9784492444719
  • Publish Date2022年12月

新しい階級闘争 / 大都市エリートから民主主義を守る

フィナンシャル・タイムズ、タイムズなど欧米メディアで絶賛!イブニング・スタンダード紙のブックオブザイヤー受賞。「資本家」対「労働者」から「大都市エリート」対「土着の国民」へ。左右ではなく「上下」対立の時代を読み解くバイブル!ポピュリズムは病原ではなく症状だ。民主主義を滅ぼす病原は新自由主義にある
【欧米メディア&識者が絶賛】
◎これまでで最も優れたポピュリズム分析の書(「イブニング・スタンダード」紙)
◎力作だ。欧米の政治が簡潔ながらも繊細に分析されている。ポピュリズムは、大学を出ていない労働者たちから経済的交渉力、政治的影響力、文化的威厳を奪ってきたテクノクラート新自由主義に対する反動だとリンドは主張する(デイヴィッド・グッドハート、『The Road to Somewhere』著者)
【中野剛志氏】
ポピュリズムの原因は、新自由主義的な政策によって労働者階級を抑圧し、政治・経済・文化のいずれの領域においても労働者階級を疎外してきたエスタブリッシュメントの側にある。ポピュリズムは確かに健全ではないが、それは、エスタブリッシュメントの新自由主義的な支配という疾患に現れた症状に過ぎないのである。私は、リンドの思想に全面的に賛成である(巻頭解説より)
【施光恒氏】
本書は、戦後実現した「民主的多元主義」の安定した政治が、1970年代に始まった新自由主義に基づく「上からの革命」の影響を受けた結果、機能不全に陥り、米国の国民統合が現在までにいかに脅かされ、分断が進んだか、またどのように分断の解消を図っていくべきかについて考察したものである。民主的多元主義の再生を可能ならしめるために、現行の新自由主義に基づくグローバル化推進路線の転換が必要だと本書は論じる。新自由主義的な改革に明け暮れてきた欧米諸国や日本に新しい視点を与え、自由民主主義の意味や条件を考えさせる貴重な一冊だ(監訳者解説より)
【概要】
グローバル化の問題点は「新しい階級闘争」を生み出した。新自由主義改革のもたらした経済格差の拡大、政治的な国民の分断、ポリティカル・コレクトネスやキャンセルカルチャーの暴走である。各国でグローバル企業や投資家(オーバークラス)と庶民層の間で政治的影響力の差が生じてしまったことがその要因だ。著者は現代の「新しい階級闘争」の解決を考えるために、マルクスが問題にしたような資本家対労働者の「古い階級闘争」がどのように解決・穏健化に向かったかを探り、戦争が中間団体の調整の政治「民主的多元主義」を各国が編み出し、階級を越える国民の妥協と結束をもたらしたと指摘。戦後の欧米の福祉国家はすべて戦争の名残だ。しかし1970年代頃から「オーバークラス」が「上からの反革命」を起こして、庶民を裏切るに至ったと分析する。「新しい階級闘争」の解決のためには、同様に中間団体の再生やその間の調整の政治の復権、「民主的多元主義」が必要だと説く。そのためにはグローバル化に一定の歯止めをかけるしかなく、無理ならば自由民主主義も滅びることになると論じる

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