東日本大震災後、福島出身の雑誌『日本古書通信』編集者が見続けてきた、「東北の古本屋」12年の記録。現在、古書店はどのような状況なのか、店は何軒あるのか、東北全体の実態を、現地を歩き自分の目で確かめ記録したルポ。地域の文化をつないでいく街の古本屋。つづく余震、原発の不安、風評被害の中で、本を整理し売り続けた古本屋から大震災はどのように見えたのか。古書業界の日常はどのように取り戻されたのか。また、新たに何が生まれたのか。人々はどう変わっていったのか。フルカラーの140点を超える写真とともに伝える。
紙の力、本の力、そして本と人をつなぐ本屋の力を信じて。震災を経験したものとして連帯する――。
話題をよんだ名著『東北の古本屋』(日本古書通信社、私家版、2019年)の増補新版。本好き、古本好きだけでなく、書店を開業しようとしている人、書店をこれからどうしていけばいいかを考えたい人にも読んでいただきたい本です。
第一部では「東北の古本屋案内」として、写真や地図とともに店舗を紹介。店舗をもたないネット書店も特色をふまえ記載。第二部では、2011年~2022年までの取材を収録。最後に東北の古本屋リスト、索引(古書関連、書店名(新刊書店及び古本屋リスト外の古書店)、古本市・市場関連、東日本大震災関連、公共交通機関)を付けた。
なお本書は『東北の古本屋』(日本古書通信社、私家版、2019年)の増補新版である。2022年現在の情報にあわせ全面的に書き直した。また第三部に「2021年東日本大震災から10年─復興の現状と東北の古書業界」「2022年 大震災から11年、今見えてきたこと─コロナ禍と地震の中で連帯する古書店」を新しく追加。古書店の写真はすべて大きく掲載し、地図も書き直した。また初版にはなかった索引をあらたに付けた。
【実際に会って言葉を交わして初めて通じ合うものがある。何度も訪ねて少しずつ心を開いてくださる方もいる。話を伺ううちに震災の話になり、共に涙ぐんだこともあった。震災で身近な方を亡くし、「本を楽しめる平和な日々のありがたみを痛感した」と語ったのは、普段はクールな若い本屋さんだった。東北は震災とは切り離せない。】......はじめにより