一人に一首、百の歌。百の歌に百人のドラマ!
古くて新しい物語が、またひとつ誕生した!
藤原定家からおよそ8世紀。“歌がるた”には顕れない、人間模様と人生の哀歓を、味読、愛翫ししつつ綴る新・注釈。
13世紀前半、藤原定家が京都小倉山の山荘で『百人一首』を選んで、およそ8世紀。小倉百人一首は「歌がるた」としても愛好され定着した。この間無数の注釈本が書かれ、現代でも研究書が引きも切らない。最初は絶対的だった作者の意図は考慮されなくなり、異説が出て校訂されれば定説となった。
こうして累積した先人たちの解釈に一石を投じるのが本書である。
百人一首の世界に魅せられた著者は、読み、味わい、そして読むことを繰り返した。そして「私はこれに賛成」と言いたくなる説が見つかる、そうすると人に知らせたくなる。どれも納得できずに、替わりに自説が出来上がることもある。その時も人に知ってもらいたいと思う……
素朴な熱情とも言える著者の発想は、これまで採られなかった行間に込められた詠み人の哀歓、かれらを翻弄した人間模様を現代に浮き上がらせる。