戦国の世。上野(こうずけ)の国、沼田城の城主である沼田万鬼斎は、豪勇無双の武将と謳われていた。地侍の金子新左衛門は、自らの娘、ゆのみを万鬼斎の愛妾として差し向ける。ゆのみは男子を出産、やがて金子親子は万鬼斎の後継をめぐり奸計を巡らせる。しかし混迷を極める城は、戦乱の渦に巻き込まれていくーー。後年、真田家がおさめる沼田城の前日譚にして、ある一族の盛衰を描き切る波乱の戦国絵巻。