週刊朝日の人気連載「司馬遼太郎シリーズ」の最新刊。連載17年目を迎える2023年は、司馬遼太郎生誕100年にあたる。中心テーマの「司馬遼太郎と鎌倉 頼朝・義経、北条家の人々」はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」とリンクした特集。源頼朝、北条時政、義時が権力維持のため、多くの御家人を粛正するなど、ドラマでも話題となったハードボイルドな世界を描く。放映終了直後の12月19日に発売予定で、承久の乱、義時の死までを取り上げる。この夏、秋に放送されたNHK「新街道をゆく・三浦半島記」の世界とも重なり、司馬さんの鎌倉時代についての考え、思いを掘り下げる企画となっている。 緊迫した世界とは雰囲気を変え、「司馬遼太郎と南の島々」は、南国らしい旅の企画。種子島、返還から50年を迎えた沖縄、伝統的な祭りを続ける西表島、国境の島・与那国島などが舞台。のびやかさは司馬さんの取材時と変わらない一方、現在の政治情勢を反映して、米軍基地建設や中国海軍との緊張関係も伝える。 1984年の司馬さんの講演録『ロシアについて』は、ロシアの原点とは何かを司馬さん独特の視点で語った内容。ロシアによるウクライナ侵攻とプーチン政権の今後を占ううえで、示唆に富む内容になっていて、まったく古びない。週刊朝日の掲載時にも、大きな反響を呼んだ。 さらに写真を担当する小林修・朝日新聞出版写真映像部長の写真集『司馬遼太郎 「坂の上の雲」の視点』の発売を受け、作品の舞台となったイギリス、フランス、フィンランド、ロシア、中国・旅順などのグラビアも。もちろん特集の鎌倉や横須賀、南の島々など、本文中の写真もすべてオールカラーになる。