「これはもしかして」安藤は、自分が念じた言葉を相手が必ず口に出すと偶然気づく。「腹話術」と名付けた能力を携えて、彼は一人の政治家に近づいていく。同居する弟の潤也は兄が迫りつつある不穏そのものを直観する。未来にあるのは青空なのか、荒野なのか。世の中の流れに立ち向かおうとした兄弟の物語。