「ミヤコ」とは何だろうか。宮処として、王宮の所在するところ、政治・経済・文化の中心としての首都は、やがて繁華な祝祭空間=都会として発展する。「ミヤコ」に魅せられ、惹きつけられる人々のミヤコ志向は、「ミヤコの辺」=野と町の境界を、郊外を、田舎を吸収してゆく。それは都市域の限りない増殖による、無秩序な日本の都市の姿を浮かびあがらせている。本書は、京都・東京という二つの「ミヤコ」をモデルとして、「棲み家」としての都市-郊外空間の意味を問い直し、更には、人々の営為を外界に表現する都市の「意味空間」を考えるものである。