フランクフルト学派の泰斗としてかつて熱狂的に信奉されたアドルノ。だが彼の思想は安易な解釈を拒み、その評価はいまだに定まらない。モダニズムとポストモダニズムの分水嶺に立つこの思想家の全貌を、M・ジェイは20世紀思想の文脈の中に明確に位置づける。フランクフルト学派研究の第一人者によるアドルノへの格好の入門書であるとともに、読者に新たな興奮を呼びおこす書である。