冷戦が終焉し、世界の紛争は多極化した。和平の声を聞いてもなお中東では争いの火は消えず、最終兵器を所有するのはもはや大国だけではなくなった。イラクに技術協力していたロケット砲弾開発の世界的権威ジェラルド・ブル博士がブリュッセルで暗殺された。数日後、サダム・フセインはクウェートに侵攻。アメリカを中心とする多国籍軍がサウジアラビアで戦闘の準備をすすめる。そのころ、イラクからの電波が傍受された。「"クブトゥタッラー"神の拳がまもなく手に入る」。神の拳とはなになのか、サダム・フセインは何を考えているのか、アラブ学者、核物理学者、諜報機関のベテランが情況の分析を試みる。そして、ひとりの男に白羽の矢が立った。徹底した取材とストーリー・テリングの天賦の才が見事に結実した、世界のフォーサイス,待望の最新長編。