初めてできた彼女に男性書店員がどうしてもできなかったこと「未練」。ギャンブルですべてを失い“看板”として道端に立つ男がついた小さな嘘「街のサンドイッチマン」。妻が産んだのは他人の子ども。それでも父親になりたかった夫の告白「ああ、なんてみじめな」。留学の二日前に愛娘を殺害された両親が語る在りし日の姿「娘は二十一のまま」。後悔を胸に秘め、それでも人は今を生きている。市井の人々の声に耳を傾け、リアルな姿を書き続けた著者の傑作ノンフィクション・コラム。(『こころ傷んでたえがたき日に』を改題して文庫化)