街角を曲がって感じる,突然の開放感や懐かしさ,爽やかな風――こうした街の雰囲気や居心地はどのように生起するのか。建物の高さや日射,交通量といった数値計測では捉えられない都市の質的な側面を,本書は〈様相〉,すなわち音や匂い,印象などを含んだ空間の全体性として考える。ではどうすればそれを可視化できるのか。多くの人が同じ〈経路〉を歩く中で捉えた,印象が変わったと感じる〈変化点〉の言葉を分析することで,都市内の諸要素が心にもたらす意味を明らかにするとともに,街づくりの実践に貢献するフィールドワークや地図制作の方法論を提案する。