がんの治療(薬物療法や放射線療法)によって皮膚や爪、髪などに起こるトラブルを総称して皮膚障害とよびます。近年では抗がん薬に加えて分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など新しい治療薬が加わり、副作用も、「脱毛」のほか「皮膚の乾燥」「色素沈着」「手足症候群」「ただれ」「爪囲炎」「爪の脱落」など多岐にわたります。 かつては入院して治療を受ける患者さんが多かったこともあり、皮膚障害の予防や治療の研究はあまり注目されていませんでした。しかし、近年は日常生活を送りながら外来で治療を受ける患者さんが多数いらっしゃいます。外見が大きく変わってしまい外に出たくないと感じる、足の裏が痛くて歩けない、手の爪がはがれてしまい身の回りのことができないなど、皮膚障害は生活の質に大きくかかわる問題です。 本書ではアピアランス(外見)ケアの情報だけでなく、皮膚障害が起きるしくみや治療法、日常のセルフケアなどについて、がん患者さん視点に立って易しく解説します。 がん経験者の復職サポートや各種講演会の企画運営などを行うキャンサー・ソリューションズ株式会社(CANSOL)の桜井なおみ代表取締役社長も、本書の構成に全面協力しています