東大に合格すれば、その後の人生が保証されるという時代は完全に終わった。
大企業に入れば、それで一生安泰という時代も過ぎ去った。
2021年秋から東京大学工学部で開講されているアントレプレナーシップ教育デザイン寄付講座には、聴講生を含め多数の学生が集まり、教室は熱気にあふれている。
この講座では、自ら会社を立ち上げ、事業を展開する起業家たちが多数講師として登壇した。
体験に裏打ちされたその言葉は、刺激に満ちている。
「北極星というか、何をやりたいかということがはっきり見つかっていればそれをずっと持っておくことで迷わずに進める」
「未来に旗を立てていき、そこから逆算して1年、1ヵ月、1日単位で何が起こるか計算していく」
「皆んなが失敗を恐れずにゼロイチでどんどん会社を立ち上げて、世の中に失敗が溢れている状況になれば、失敗して恥ずかしいなんて感覚はなくなるんじゃないか」
「結局モノを言うのは粘り強さとか、諦めの悪さとか、そういう要素」
「自分のパッションに近いところで、いかに勝ち筋を見つけるか」
敷かれたレールの上を走るだけでは、見えてこない。自分の気持ちに忠実に、泥臭く、粘り強く、失敗を恐れず進むしかない。起業の先人たちは、そう伝えている。
東京大学の藤井輝夫総長も、2022年度の入学式挨拶で起業支援にかなりの時間を割くなど、大学を挙げて後押ししている。
いま、東大でもっとも熱い学生たちが集まる、熱い講義の内容を一冊にまとめた、東大版「白熱教室」。