「私の時代まではね、浜に遊びながら縁が結んでね。夫婦になった人もたくさんおった」 ──月の出る夜、潮騒と三線(さんしん)の音が聞こえる浜で、若い男女が出会った〝毛遊びー(もうあしびー)〟。そこにはおおらかでいとおしい〈性と生〉のいとなみがあった。農漁村に生きた明治生まれの女性たちの記録。庶民の歴史。下巻=沖縄篇。大門正克氏(早稲田大学特任教授・日本近現代史)の解説「接ぎ穂を折らずに耳を傾ける」を収録。