修道院のヤギ小屋にたおれていた少女。「ベアトリス」という自分の名前のほかは、すべての記憶をなくしていました。庶民の読み書き―特に女性の読み書き―が禁じられていた時代に、この少女は文字が書けたり読めたりしました。国王の兵士たちが捜索しているのは、この少女ではないか?……やがてベアトリスは、予言に語られている少女であることがわかってきます。「ある日、ひとりの少女があらわれて、悪しき心を持った王を追放するだろう」という予言です。彼女の味方は、守護神のようなヤギ、村の少年ジャックにエディック修道士……言葉の力と、武器を持たない仲間たちしか頼るもののない少女が、国王側の権力に立ちむかう姿を描く物語です。