私はこの長い一生のあいだになにをしてきたか、ということを問いかえしてみると、終始一貫して、私は自然とはなにかという問題を、問いつづけてきたように思われる。それも何々学に代表されるような部分自然でなく、つねに全体自然というものを、追い求めていたような気がする。私の求めていたものは自然学なのであった。自然を理解しようとする学問であり、自然観の学問であると定義してもよいかもしれない。