リトアニアに生まれ、ストラスブール大学に学んだ後フランスに帰化したユダヤ人哲学者レヴィナス。第二次大戦に志願するがドイツの捕虜収容所に囚われて四年を過ごし、帰還後ユダヤ人を襲った災厄を知る。かつての師ハイデガーのいう「支配する主体」の対極に、レヴィナスは「実存者」を措定、戦争で露呈した現代人の「実存」の運命を考察する。時代を深く予見したフランス現代思想の巨匠の代表作。