むかし、ニューヨークの町に、畑や果樹園にかこまれた古い灰色の館がありました。そこに学者のクレメント・C.ムーアがすんでいました。1822年のクリスマス前夜のこと、ムーア先生は、子どもたちを喜ばせようと『セントニコラスの訪れ』と題する、たのしい物語詩を書きました。後にサンタクロースとよばれるようになったセントニコラスがクリスマス前夜にやってくるお話です。興奮と喜びにみちたこの物語は、『クリスマスのまえのばん』として、よりよく知られるアメリカの古典となりました。それから80年後の1902年、『オズの魔法使い』の挿絵で知られた巨匠ウィリアム・W.デンスロウが、姪のナンシー・A.ターナーのために『クリスマスのまえのばん』を、愛情をこめて、そして自分の子ども時代の興奮を思い出しながら、絵本に仕立てあげました。読んであげるなら4才から。じぶんで読むなら小学校初級むき。