詩は詩仏、書は鵬斎に、狂歌俺、芸者小勝に、料理八百善と讃えた蜀山人をはじめ、酒井抱一、永井荷風など文人に愛された八百善は、昭和二十年三月、空襲によって消え去った。-七年後、伝統の味の再現をめざし、命運を賭けて、永田町に再開した八百善。しかし、京料理の進出は老舗に生きる人人に、新たな選択を迫りつつあった…。時代の変革の中で傾いていく老舗を懸命に支える一人の女-。