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  • 著者北沢彰利
  • 出版社信濃毎日新聞社
  • ISBN9784784074204
  • 発行2023年5月

森の赤鬼 / C.W.ニコルの軌跡

英国ウェールズに生まれ、日本の自然保護と森の再生に身を投じた作家C.W.ニコルの80年の生涯を追った伝記。信濃毎日新聞文化面に2021年5月から23年3月まで連載した「森の赤鬼 C.W.ニコル」全94回を単行本化した。がん闘病の末、2020年4月3日に永眠して3年。豊かな森を守ることが、地球の環境や生き物の共存、子供たちの未来にいかに大切か。ニコルがその思いに至った背景と、17歳で恩師と北極探検の旅に出たのをはじめ、たぐいまれな行動力の軌跡を追いかける。体の弱かった少年は、柔道を通じて日本文化に触れ、20代で初来日。旺盛な探求心で、カナダの海洋・生物調査、エチオピアの国立公園づくりへと、世界中を駆け巡る。日本の捕鯨文化にも強い関心を持ち、捕鯨船に載って鯨捕りの技と精神に触れる一方、古くから捕鯨の地である和歌山・太地で暮らし、古い資料も丹念に調べて歴史小説『勇魚(いさな)』を書いた。40代で北信州・黒姫に定住。天然林が豊富な日本の自然を愛する心から、私財を投じて山林を買い取り、多様な命が息づく森づくりに邁進していく。1995年、日本国籍を取得。自身がいなくなった後も森を守る運動が継承されていくようにと、2002年に「一般財団法人C・W・ニコル・アファンの森財団」を設立、森に子どもたちを呼び込む活動に力を入れていく。東日本大震災後、東北・東松島から子供たちを招き、被災地で里山再生や「森の学校」づくりも支援してきた。「少年のような心を持った人」と多くの人が評したとおり、人柄に魅せられた著名人との交友も豊かだった。著者は元小学校長の児童文学作家。ニコルが暮らした信濃町にある黒姫童話館の館長を務めていた2020年、ニコルの追悼展を開催した際に、故人の人生が想像以上に大きなスケールで彩られてきたことに圧倒されたという。若者が委縮しがちな今の時代に、こんな生き方をした人がいたことを知ってほしいと、執筆を思い立った。取材・執筆にはC・W・ニコル・アファンの森財団が協力。

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