1滴の露に全宇宙の美を見、一陣の風に永遠のときを感ずる。空にひびわれを見、天に響く妖しい楽の音を聴き、月に苹果の匂いを感ずる。賢治は心の中に明滅するさまざまな幻想や思念を、その場で書き留めてそれらを"心象スケッチ""心の風物"と呼んだ。本書は、賢治のに分け入りながら、時代を超えて生きる詩人・童話作家のみずみずしいを捉えなおす。