小学校教員を退職後、1960~70年代に山岸会など日本の共同体をめぐり、横浜寿町の生活相談員、児童相談所の相談員を経験し、横浜市立大学教授を経て沖縄大学学長を務めた著者の自叙伝。
山岸会北海道試験場、森信三「実践人の会」、山尾三省、比嘉ハツ「沖縄ミロク会」、「山脈の会」、横浜寿町の日雇い労働者たち、過酷な環境で生きる子どもたち、宇井純、新崎盛暉……。
高度成長の陰でかえりみられることのなかった存在との深い交流がつまびらかに語られる。長い、長い放浪とあくなき交流。本書はその涯てに見えてくる「出会いの戦後史」である。