• 著者宮崎忍勝

写経と般若心経

大乗思想の真髄にふれる心経写経 仏教の経典は五千余巻にも及ぶ。写経は「般若心経」にかぎらない。自分の信仰にもとづいて、どの経典を選んでもよいのである。その中でも心経は、昔から多くの人々に親まれ、帰依されている。 二百七十四文字という短いお経でありながら、内容は大乗仏教の根本思想であり「大般若経」六百巻の真髄を説いて過不足なく、現代哲学からみても優るとも劣らないおしえである。そして、なによりも霊験あらたかであるとして、写経といえば般若心経といってよいほど、心経が写経の中心になっている。 (中略) 何がどのように説かれているのか、わからないで写経するのと、一字一句を自分のものとして、写経するのとでは、写経すること自体の内容をどれだけ豊かに、清興あるものとするかわからない。また、経典の意味を理解した上で、写経を繰り返してゆくと、回をかさねるにしたがって、一字一句がより深く自分のものとして体得されるのである。ことばをかえていうと、深い宗教的体験の境地が展開するのである。 (本文より)

著者紹介 宮崎忍勝 (みやざき にんしょう) 1922生。 徳島市寺町般若院住職、名古屋大学教授宮坂宥勝博士に師事。 著書 「新・弘法大師伝」 (1967大法輪閣) 日本図書館協会、全国学校図書館協議会より優良図書選定。 「弘法大師の詩と宗教」 (1967・高野山出版社) 「大日経に聞く」 (1970 教育新潮社) 「密教と現代」 (1972 高野山出版社) 「遍路一その心と歴史」 (1974・小学館) 「現代密教講座・文化篇」 共著 (1975・大東出版社) 「般若心経と心経秘鍵に聞く」 (1976・教育新潮社) 「講座・密教」 第三巻く空海の人生と思想〉共著 ( 1976・春秋社) 「同上」 第四巻<密教と文化>共著 ( 1977・春秋社) 「澄禅・四国遍路日記」 附解説校注 (1977・大東出版社) 「弘法大師唱導絵伝」 監修・解説 ( 1977・ピタカ) 「日本仏教基礎講座・真言宗」 共著 (1980・雄山閣) 「神話と遍路一密教思想入門」 (1980・東洋文化出版) 日本図書館協会より優良図書選定。 その他

発行者*小森保彦 発行所 * 朱鷺書房

昭和五六年四月三〇日 初版 昭和五七年一一月一五日 四版 印刷第一印刷出版株式会社

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