明治16年秋、博物館の怪異研究所で働くイカルは、突然の指名で、陸軍卿、大山巌とその婚約者、山川捨松の博物館観覧に同伴することになる。11歳で渡米し、大学卒業後に帰国した捨松の身の上を聞き、その聡明さと温かい人柄にひかれたイカルは、巌と捨松の結婚について、それぞれが仇敵である薩摩と会津の出身であることを根拠に、あらぬうわさが立てられていることに憤慨する。そんなある日、捨松の兄、山川健次郎が怪異研究所にやってくる。捨松と巌の結婚後、大山邸で続いている怪異現象について調査してほしいというのだ。所長のトノサマは、巌と亡くなった先妻との子どもの教育係として、イカルを大山邸に送りこむことを思いつく。