徹底的に「かたち」にする戦略でコンペに勝ち
求めを超えた「建築」を現す
美術館構想から約40年という異例な期間を経て、関西最大級の美術館として2022年2月に開館を果たした大阪中之島美術館。行政側は長期にわたる紆余曲折の経験から、徹底した公平性と透明性を貫き、設計者の選定をプロポーザルではなくコンペとして開催。そして「過去の実績よりも未来の可能性に賭けて」選ばれたのが、当時スタッフ5名という遠藤の事務所だった。本書は、業界をざわつかせた「異例の選出」が「異彩を放つ黒い箱」を生んだ軌跡を、発注側・使う側・つくる側という違う立場からの証言でつづる、公共建築と建築家の新しい在り方を示唆するドキュメントである。
◆実際のコンペ実施要項も掲載
◆様々な立場の関係者9名のインタビューも掲載 ※肩書は竣工前当時
菅谷富夫(大阪中之島美術館館長・大阪中之島美術館建設準備室 室長)
洞正寛(大阪市行政担当者・大阪市経済戦略局 文化部 新美術館整備担当課長)
山梨俊夫(美術史家・国立国際美術館館長※・大阪中之島美術館審査評価会議 委員長)
嘉名光市(都市計画家・大阪公立大学大学院 工学研究科都市系専攻 教授・大阪中之島美術館審査評価会議 委員)
竹山聖(建築家・設計組織アモルフ代表取締役・大阪中之島美術館審査評価会議 委員)
佐藤淳(構造家・佐藤淳構造設計事務所 技術顧問・東京大学大学院 新領域創成科学研究科 准教授)
大井鉄也(建築家・遠藤克彦建築研究所元スタッフ・大井鉄也建築設計事務所 主宰・国土館大学 理工学部理工学科 准教授)
外﨑晃洋(遠藤克彦建築研究所 設計室 主幹・大阪中之島美術館 意匠担当主任)
原広司(建築家・東京大学名誉教授・原広司+アトリエ・ファイ建築研究所 主宰)