命あるうちに、おのれの心残りに始末をつけたい。
遠い昔、別れの言葉もなく消えた女に、
市兵衛は初老の豪商の真心を届けられるのか!?
大人気!感涙の時代小説
還暦を前に大店下り酒屋の主・里右衛門が病に倒れた。店の前途もさることながら、 里右衛門の脳裡を掠めたのは、若き日に真心を通わせた三人の女性だった。唐木市兵衛は、里右衛門から数十年も前の想い人を捜し出し、現在の気持ちを伝えてほしいと頼まれる。一方、店では跡とりとなる養子が、隠居しない義父への鬱憤を、遠島帰りの破落戸にうっかり漏らしてしまい……。