多くの作家、芸術家を魅了し、作品の舞台、創作の淵源、そして彼らの交友の拠点となった「喫茶店」。28篇の選び抜かれた短篇小説、エッセイなどから、明治以来の喫茶店文化の真髄に触れる。一杯の珈琲のように、薫り高く味わい深い作品集。文庫オリジナル。
「コーヒー」をテーマにした作品集、アンソロジーはあるが、「喫茶店」という括りで作品を揃えたものは少ないかもしれない。「コーヒー」では個人的体験・思索を綴った作品が多いが、「喫茶店」はコーヒーなどの飲料のことよりも、そこに集う人々との交流・人間模様を描くところに特徴がみえる。
作品の選択にあたっては、チェーン店台頭以前の昭和の時代までに書かれた作品でまとめてみた。
*本書の執筆者*
夏目漱石/森茉莉/水野仙子/谷崎精二/村山槐多/中戸川吉二/浅見淵/北園克衛/植草甚一/戸川秋骨/田村泰次郎/中原中也/小山清/安田武/澁澤龍彦/埴谷雄高/戸川エマ/伊達得夫/山崎朋子/野呂邦暢/洲之内徹/高平哲郎/平岡正明/小野十三郎/常盤新平/吉村昭/鷹野隆大/山田稔