ことばが世界をつくるのか。世界がことばをつくるのか。元オリンピアンで著作も多く、「走る哲学者」とも呼ばれる為末大氏。為末氏が現役時代から興味をもっていたというこの問いを、言語習得研究の第一人者である今井むつみ氏が受け止める。私たちが意識せず使いこなしている「ことば」とは何だろうか。「言語能力が高い」、「運動神経がいい」とはどういう状態を指すのだろうか。スポーツでも言語の習得でも、繰り返しながらやさしいことから難しいことへ、段階をふんだ「学び」が必要になる。しかし、「学び」とは単なる知識の獲得ではなく、新しい知識を生み出す「発見と創造」こそが本質であると今井氏は言う。その究極のかたちを為末氏は、調整力の高さ、すなわち「熟達」と呼ぶ。私たちはどのように学ぶのか、そこに身体がどのようにかかわってくるのか。「ことばと身体」を専門にする話題のふたりが、異なる立場から「学び」にアプローチする。◆目次案1章 ことばは世界をカテゴライズする2章 ことばと身体3章 言語能力が高いとは何か4章 熟達とは5章 学びの過程は直線ではない