漢方医の名家に生まれながら、長崎で最新の西洋医学を会得し、蘭方の名医となった沢村伊織。しかも留学中の長崎で西洋剣術をも学び、秘剣の遣い手としても知られていた。
ある日、伊織は腹を切り裂いたという急患の手当てに呼ばれる。患者は乱心のすえ、みずから腹を切ったという話であったが、どこか納得のいかぬ奇妙な説明であった。時を同じくして伊織は、隠居した与力に請われ、未解決事件にかかわることとなる。大店の後継ぎ騒動は、実の父親がわからぬという難問につながり、終わったはずの事件から不穏な気配が立ちのぼる……。
表で裁けぬ卑劣な犯人に、伊織たちの奇抜な復讐がはじまる! 大人気シリーズ第十五弾!