中国回教徒は、唐の時代、アラブ、ペルシアから来華した人々に源をもち、軍事、商業に活躍した元の時代、厳しい弾圧に激しい宗教戦争を戦った清の時代、抗日戦争で日本の西方進出を阻止した民国時代、階級闘争と民族解放にゆれる現代と、中国史の重要な鍵となってきた。故郷を失い、母語を失い、血縁と信仰を自らのアンデンティティとして中国文化の海の中を生きつづけてきた回族の運命に、中国の国家体制と宗教信仰の根幹を問う。