南の島、異国の子供たちと暮らすマリコ。研究者の僕に日本を脱け出し、彼女を追う生き方ができるだろうか(「マリコ/マリキータ」)?前人未踏の遺跡を探検した僕とピエールは、静謐のなか忘我の日々を過ごした。でも僕には、そこにとどまり現世と訣別する道は選べなかった(「帰ってきた男」)。夜に混じり合う情熱の記憶。肌にしみわたる旅の芳香。深く澄んだ水の味わい、5篇の珠玉の短篇集。