パンデミックによって現代の暮らしに生じた、大きな変化。オンラインサービスやリモートワークの普及で自分の家に閉じこもる生活スタイルも一般的になりましたが、“ふれあうこと”や“近くにいること”の大事さに世界中の誰もが気付かされました。そのアプローチとして大きな示唆を持つのが、「Livable proximity=ここちよい近さ(近接)」。イタリアのデザイン研究者でありソーシャルイノベーションとサスティナビリティデザインに関する第一人者エツィオ・マンズィーニが著してくれるこの視点は、国のボーダーを超えてこれからの時代の“まち、地域、都市、ケア、コミュニティ、デジタル、経済、デザイン”への見方を変えてゆくと考えてやみません。本書は彼が記した「Livable proximity -- ideas for the city that cares」の翻訳書として、ポストコロナにこそ意味を放つこの視点・考え方・アプローチを我が国に広く伝えることを目的に、日本版オリジナルコンテンツとして当文脈における意義深い日本の事例や解説も追加されています。人類が“今までの生き方で良かったのか?”問われているとも言えるこの時代に、新たなる希望の一歩を踏み出すためのマイルストーンともなりえる一冊です。