大学の制度面での変化は、人文学に様々な次元での対応を求めている。背後には、グローバル化した現代の、「知」と「学び」に関する認識の変化という問題が横たわっている。本書は、人文学の長い伝統を持つヨーロッパを素材とし、その歴史のなかで人々が人文学の研究と教育にいかにかかわってきたのか、また人文学的な教養がいかなる意義を持ち、評価を受けてきたのかを検討して、人文学の本質と可能性を追求した研究である。わが国と世界の「知」と「学び」にかかわる現今の状況を深く理解し、今後のあるべき方向を考えるための糸口を与えんとする試みである。