• 著者鶴見 俊輔

ちいさな理想

本書の目次 巻頭言 もうろく帖から 第一章 時代の峠に立って 「同時多発テロは、私にとっても、上安に火をつけた。さかのぼって考えれば、家族は、上安から求めた秩序である。その秩序もまた、ゆすぶられている。ここが、私たちの出発点になる。」 第二章 悩みが思想を支えている 「自分の部族が死にたえ、意を決して、都会にむかってあゆみだすヤヒ族のインディアン、イシが、都会文明の側で、文化人類学者のアルフレッド・クローバーに会う。 思想には、科学に還元しきれない悩みの深さというところがあり、その悩みの深さが、アルフレッド・クローバーだけでなく、夫人を動かし、やがて娘(ル=グィン)の創作の動因となり、さらに、娘の読者へとうったえる。今ゆきづまっている国民国家を食いやぶる方向がここにひそんでいる。」 第三章 自分用の本 「この本『君たちはどう生きるか』が私につたえたことのなかで、重大なものは、「一歩おくれた場合」という問題である。そのときにすぐにふみこんで対さなくてはならないのに、気おくれして、その機会を逸する。そういう場合の悔恨が、どのようにその後思想として育つか。」 あとがき

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