心のぜんぶで、恋をした。
大好きな太陽のために「五感」を差し出す宿命を背負った雨。
そして彼女を誰よりも大事にしたい太陽。
過酷な「奇跡」が引き起こす、ファンタジーラブストーリーの行方は・・・!?
逢原雨と朝日太陽は、高校時代の先輩後輩の仲。お互いを想い合いながらもそれぞれの夢――雨はパティシエになること、太陽は花火師になることーーのため、雨は東京、太陽は地元長崎と離ればなれに暮らしていた。
「十年後の大晦日、一緒に花火を見に行こうよ。俺の作った花火、見てほしいんだ」
再会を約束していた二人。しかし運命の悪戯か、その約束の日に太陽は、雨の目の前で事故に遭ってしまう。瀕死の太陽を救いたい一心で、雨は突如現れた謎の「案内人」とある契約を結んでしまう。「君が私に心を差し出すならば、私は彼の命を助けてもよい」と言われた雨は、「五感」をひとつずつ、3ヶ月かけて「案内人」に渡すことに。
最初は「味覚」だった。パティシエを目指す雨にとってそれは失ってはならない感覚。しかし雨は躊躇しなかった。その次は「嗅覚」。思い出の香りを失うことになるのだとしても、太陽の命とは引き換えにならない。雨は太陽に「好きな人ができたの」と嘘をつく。自分が完全に五感を失った時、太陽にとって迷惑な存在になりたくなかったから。
そんななか、雨にとって大事な肉親である祖母の雪乃が実は不治の病であることも判明し・・・・・・過酷すぎる運命を背負った雨と太陽。互いの幸せを祈ってつく、優しくて悲しい嘘の数々・・・「もしも」が許されない、たったひとつの世界線でふたりが見つけたものとは・・・!?
6話から11話、感動的なドラマのフィナーレまでのすべてがこの本に!
脚本の宇山佳佑によるスペシャル・オリジナル短編小説、第二弾も収録。