「お金を稼がずに生きていける世界」なんて、ありうるのか?
「お金」さえあれば何でもできる世の中だと信じられていますが、その「経済的自由」を実現するために、人々は資本主義経済の厳しいルールの下で「勝ち続けること」を強いられています。
経済学の父、アダム・スミスは、そもそも、そうやって人々が「騙される」ことで社会のルールを守り、同時に経済を発展させる仕組みを提案したのでした。
しかし、その仕組みには、もう限界が来ています。
金融危機や気候危機など、システム全体の見直しを迫る問題に対処できないのです。
とはいえ、従来のオルタナティブには、理想に人々を縛る危険があり、代替案とされる贈与経済にも構造的な問題がありました。
そこで本書は、まったく新しい「贈与経済2.0」を提唱します。最新の技術を用い、お金を介さない新しい経済圏の実像を鮮やかに描きます。
【各界が激賞!】
■斎藤幸平氏(東京大学准教授)
哲学者が切り開く資本主義を超えた「経済2.0」に、ワクワクが止まらない!
■大澤真幸氏(社会学者)
哲学的思索と実践的配慮の総合。資本主義とは異なる経済は可能だ!
■樫田光氏(元メルカリ データ分析チーム責任者)
金に依る自由か、人の結びつきか。資本主義の矛盾を巡る思考の冒険。
■中里唯馬氏(ファッションデザイナー)
人と人との間に新たな繋がりを創り出そうと果敢に挑む筆者の眼差しは、人類未到の難題であることを忘れさせてくれる。
■星覚氏(曹洞宗禅僧)
誇張ぬきに人生で最も衝撃を受けた本の一つ。
【おもな内容】
第1章 なぜお金を稼がないと生きていけないのか――資本主義経済の構造を探る
第2章 理想の社会を作ろうとする試みはなぜ失敗し続けるのか――もうひとつの「近代社会」と戦後秩序
第3章 贈与経済はなぜそのままでオルタナティブになりえないのか――贈与経済論の再構築
第4章 これからの社会はどうあるべきか――他者との自由な関係に基づく「新しい経済」
第5章 いま、何をすればいいのか――「贈与経済2.0」の作り方
第6章 未来の社会はどのようになるのか――「近代社会」を超えて
【著者略歴】
荒谷大輔(あらや・だいすけ)
慶應義塾大学文学部教授、江戸川大学名誉教授。専門は哲学/倫理学。主な著書に『資本主義に出口はあるか』(講談社現代新書)、『ラカンの哲学』(講談社選書メチエ)、『「経済」の哲学』(せりか書房)、『西田幾多郎:歴史の論理学』(講談社)、『使える哲学』(講談社選書メチエ)など。