君は、馬だ。どこまでも走っていく馬だ──。
謎の老人が告げた一言から、その旅は始まった。
モンゴル、アンダルシア、モロッコ、トルコ。
土着の馬にまたがり大地を行くと、テロ、感染症、戦争……不確実な世界の輪郭が見えてくる。
「馬の地」が紡いできた歴史と人々の営みをたどる、さすらい紀行。
【目次】
はじめに
第一章 極東馬綺譚
火の馬
君は馬
馬と車
そこに馬はいるか
第二章 名馬の里、アンダルシア
レコンキスタ終焉の地、グラナダ
コルドバのすごみ
アンダルシアンに乗る
馬祭りの街、へレスへ
第三章 ジブラルタル海峡を越えて
二つの大陸
青の町、シャウエン
砂漠の出会い
第四章 テロの吹き荒れたトルコ
文明の十字路
雪の舞う辺境へ
トルコのへそ、カッパドキア
第五章 遊牧民のオリンピック
未知の馬事文化
いざ、イズニクへ
馬上ラグビー、コクボル
コクボルの摩訶不思議な世界
おわりに
【著者略歴】
星野博美(ほしの ひろみ)
ノンフィクション作家、写真家。1966年、東京生まれ。『転がる香港に苔は生えない』で第32回大宅壮一ノンフィクション賞、『コンニャク屋漂流記』で第63回読売文学賞「随筆・紀行賞」、第2回いける本大賞、『世界は五反田から始まった』で第49回大佛次郎賞受賞。
主な著書に『島へ免許を取りに行く』『戸越銀座でつかまえて』『今日はヒョウ柄を着る日』『愚か者、中国をゆく』『みんな彗星を見ていた──私的キリシタン探訪記』『謝々! チャイニーズ』『銭湯の女神』『のりたまと煙突』『旅ごころはリュートに乗って──歌がみちびく中世巡礼』などがある。