僕は文化人類学者でもなく、政治や経済を評論するタイプでもない。ただのアジア好きの旅行者だ-そう語る著者はリュックを背負い、安宿を泊り歩く。バスを乗り継いで街から街へ。灯ともし頃には屋台にもぐりこみ、安酒を呷っては料理をつつく。アジアを漂い流れて二十年、さすらいのトラベルライター下川裕治が見たアジアの実相。湯気の向うにアジアが見える。