今日も頑張ったあなたを労わる、
とっておきの「夜食」をどうぞ。
おいしいものが大好きな作家陣が、
夜に織りなす極上の人間ドラマを描く、
心とお腹が温かく満たされる短篇集!
●作品紹介
定時退社して、とある駅の改札前に陣取った陽茉莉。
脳裏によぎるのは、待ち人である憲吾との思い出の数々だ。
小学校の同窓生だった彼とは大学で再会するもすぐ疎遠に。
社会人になって偶然連絡を取り合い、恋人同士になったのだが……。
――標野凪「バター多めチーズ入りふわふわスクランブルエッグ」
終電を逃したすず音が、謎めいた女性に誘われてたどり着いた
いっぷう変わった場所「うしみつ屋」。
秘密の合言葉を告げた先には、思わぬ世界が広がっていた――。
――冬森灯「ひめくり小鍋」
ある事情から不眠がちの勝を、
深夜、大学の同級生・昇一がラーメンを食べようと誘いに来た。
「二人で罪悪感を分け合うんだ」
昇一のお目当ての店に向かう途中、
二人の身近で起きた事件の現場を通りかかり……。
――友井羊「深夜に二人で背脂ラーメンを」
那須高原にある小さなペンション「ペンション・ワケアッテ」。
傷心旅行で明美が訪れたそこは、ちょっと変わったオーナー夫婦が営む、
いわくつきと噂の宿だった。
――八木沢里志「ペンション・ワケアッテの夜食」
古い友人たちと真夜中のファミレスに集っておしゃべりをする
「夜食会」を定期的に催している私。
アラフィフにもなれば、バツがついた人、熟年結婚する人、
子どもとの関係に悩む人、ずっとシングルで来た人さまざまだ。
気のおけないおしゃべりは、意外な展開を見せ――。
――大沼紀子「夜の言い分。」
食に厳しい母に育てられた料理研究家の秀美は、
「正しい食べもの」を好む夫の亮太郎に、
インスタントの激辛キムチラーメンが食べたいと言い出せない。
そのストレスが次第に溜まっていき――。
――近藤史恵「正しくないラーメン」