銭金のことで卑しくなるばかりの江戸庶民を襲う怪事件
夕闇迫る江戸の町で、懐の大金を失くし茫然と橋から川面を眺める同心。そのすぐそばで、異様な姿になった海産物問屋の遺体が発見された。物の怪のしわざと騒ぐ瓦版や町の声をよそに、「殺しに決まっている」と断言する南町奉行・根岸肥前。そして、探索する同心や根岸の配下の者たちの目の前で、今度は占い師が殺される。やはり逢魔ケ刻、同じ橋のたもとだった。事件の背後に何が? なくした大金の行方は? 米の相場や両替屋の利息など、銭金のことで卑しくなるばかりの江戸の民を襲った怪事件、いつもの通り、裏の裏まで根岸が見通します。