満員の後楽園球場。4万人の観衆にまぎれて、一人の男が、ライフルのスコープの中の十字の焦点を長島の頭部にセットし、まさに引き金をしぼろうとしている。長島はなぜ、何度も、何人もの男たちに狙われるのか?天才だからである。ピンクの肌をもった、大輪のひまわりのように明るい、大天才だからだ!「狙撃事件」の展開とともに、不世出の天才のナゾが明かされ、球史に残る名選手たちが甦る。"長島を一番愛している人間が、長島を殺す権利がある"のだ。かくて、限りない愛と情熱、執拗さをもって、天才は狙われ続ける。