アフリカの民話には、かならずといっていいほど、クワク・アナンセというクモ男がでてきますが、クモ男の話でなくとも、「クモの話」という場合が多いようです。本書は、その「クモの話」の由来を語ったもの。これは、世界中どこにもお話のなかったむかし、むかしの話です。お話は、ひとつのこらず空の王者ニヤメが持っていたので、クモ男のアナンセがそれを買いとろうと、クモの糸のはしごをあんで空にのぼり、空の王者と交渉します。ところが、ニヤメは、"ガッブリかみま"のオセボ・ヒョウ、"チックリさしま"のムンボロ・クマンバチ、"コッソリいたずらま"のモアチアようせいを持ってこいといったのです。アナンセがどうやってその難題をこなしたかという話が、巧みな文章と、アフリカの匂いのする美しい木版画で語られています。1971年度のコルデコット賞を受賞。5歳から。