校正者の精緻な仕事に迫るノンフィクション
日本最古の歴史書『古事記』で命じられた「校正」という職業。校正者は、日々、新しいことばと出合い、規範となる日本語を守っている「ことばの番人」だ。
ユーモアを忘れない著者が、校正者たちの仕事、経験、思考、エピソードなどを紹介。
「正誤ではなく違和」「著者を威嚇?」「深すぎる言海」「文字の下僕」「原点はファミコン」「すべて誤字?」「漢字の罠」「校正の神様」「誤訳で生まれる不平等」「責任の隠蔽」「AIはバカともいえる」「人体も校正」……
あまたの文献、辞書をひもとき、日本語の校正とは何かを探る。
【本文より】
文章は書くというより読まれるもの。読み手頼みの他力本願なのだ。世の中には優れた書き手などおらず、優れた校正者がいるだけではないかとさえ私は思うのである。
【目次より】
第一章 はじめに校正ありき
第二章 ただしいことば
第三章 線と面積
第四章 字を見つめる
第五章 呪文の洗礼
第六章 忘却の彼方へ
第七章 間違える宿命
第八章 悪魔との戯れ
第九章 日本国誤植憲法
第十章 校正される私たち
【著者略暦】
高橋秀実(たかはし ひでみね) 1961年、横浜市生まれ。東京外国語大学モンゴル語学科卒業。テレビ番組制作会社を経てノンフィクション作家に。『ご先祖様はどちら様』で第10回小林秀雄賞、『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』で第23回ミズノ スポーツライター賞優秀賞を受賞。その他の著書に『TOKYO外国人裁判』『ゴングまであと30秒』『にせニッポン人探訪記 帰ってきた南米日系人たち』『素晴らしきラジオ体操』『からくり民主主義』『トラウマの国ニッポン』『はい、泳げません』『趣味は何ですか?』『おすもうさん』『結論はまた来週』『男は邪魔!「性差」をめぐる探究』『損したくないニッポン人』『不明解日本語辞典』『やせれば美人』『人生はマナーでできている』『日本男子♂余れるところ』『定年入門 イキイキしなくちゃダメですか』『悩む人 人生相談のフィロソフィー』『パワースポットはここですね』『一生勝負 マスターズ・オブ・ライフ』『道徳教室 いい人じゃなきゃダメですか』『おやじはニーチェ 認知症の父と過ごした436日』など。