マドリードに別れを告げ、リスボン特急に乗ってポルトガルに向かう。長旅のあいだ、さまざまな話題が展開される。若き日の伊藤博文と井上馨が幕末にポルトガル人に「変装」した話、筆者自身がポルトガル人に間違えられた話…。リスボンの酒場では民族歌謡ファドに聞きほれた。雄大な旅の終わりはサグレス岬。大航海時代の礎を築いたエンリケ航海王子を思う旅でもあった。大きな活字で装いも新たに、新装文庫版。