八〇年代後半から急成長を続けながら九七年、にわかに大混乱に陥ったアジア経済は立ち直るのか、またその課題とは何か。この問題を考えるには、技術文明がいまどのような段階にあるのかの認識が必要である。即ち、産業革命以降、英、独、米、日等によって担われてきた技術文明は、二〇世紀後半、成熟期に入った。「技術の爆発」である。アジアは仕上った技術によるモノの市場・生産の場として最適な舞台なのだ。技術の観点からみる近現代史。